学習目標 |
『唯信鈔文意』は、聖覚著『唯信鈔』に親鸞が独自の解釈を示したものである。現存する『唯信鈔文意』(自筆本)は康元二(一二五七)年、親鸞八十五才の時に書かれたものだが、そこには師の法然と親鸞をつなぐいくつかの重要な思想を見ることができる。 『唯信鈔文意』は、漢文で書かれた『教行信証』などとは違い、浄土真宗の核心である本願?他力の思想を「いなかのひとびと」に向けて平易に説いたもので、初学者が親鸞の他力思想の要点を知るには有用な資料といえる。 とは言え、浄土教思想に馴染みのない者にとっては、使用されている言葉だけでなく議論の背景などを逐一押さえつつ読み進めていかなければ理解は容易ではない。 浄土教の他力の思想が、日本の倫理の底流に深く息づいてきたことは間違いない。親鸞が説く信心とは何か、本願とは何かについて、『唯信鈔文意』の読解を通じて浄土思想についての理解を深めていきたい。 |
授業概要 |
毎回、分担者を決め、現代人にもわかる表現で現代語訳していく。担当者は、単に現代語に訳してくるだけでなく、なぜそのような訳になるのかを、言葉の意味や議論の背景を十分に押さえた上で説明?発表してもらう。 一回の演習で進む分量は、せいぜい数行であろう。演習の参加者は、担当者が示した現代語訳の妥当性や根拠について各々の観点から吟味し、現代語訳がよりよいもの(自分にも理解できるもの)になるよう、修正?補足の議論に参加してもらう。 現代語訳がある程度進んだところで訳を再検討し、修正を加えるとともに思想の全体像をつかみ理解を深めることも目指したい。 |
テキスト |
『底本親鸞聖人全集』(法蔵館) *テキストはコピーを配布する。 |
参考文献?課題図書 |
『真宗聖教全集』(大八木興文堂)、『真宗聖典』(東本願寺出版部)、『浄土真宗聖典(註釈版)』(教学伝道竞彩篮球推荐センター) |
受講生への要望 |
議論に極力積極的に参加すること。 |
評価方法 |
平常点及びレポート |